What isZAWAMEKI ART?
誰から教わったわけでもなく独自の創作を行っている。作品に強いこだわりが感じられる。よくわからないが、なんだかすごい。ユニークで笑ってしまうような不思議な魅力がある。…長野県では、そんな基準で選ばれた作品を2016年から紹介してきました。2022年以降は、これまでの「ザワメキアート展」のレガシーを継承しつつも、新たな試みとして、毎年様々な分野でご活躍のゲストキュレーターをお迎えし、それぞれの視点からザワメキアートの魅力を紹介しています。
Curate the curation
表現とキュレーションを再構築する
キュレーションという言葉をご存じでしょうか。展覧会の企画から、展示する作品の選定や展示構成、作家や作品の解説などの専門的な活動を指し、実行するひとをキュレーターといいます。キュレーションをキュレイトするとはなんだかわかりにくいレトリックのようですが、本展キュレーターである小海町高原美術館の学芸員は「ザワメく」作品と障がいがある方の表現にもっとも近付いてくれそうなキュレーターを選定(キュレイト)し、表現とキュレーションの再構築を試みました。キュレーターは小海町や山ノ内町の中学生から、アフリカの子ども、教師、作家、デザイナー、セラピスト、詩人、司書、地域おこし協力隊と多岐にわたります。多くの「キュレーター」の視点により、障がいがある方の表現がさらに開かれ、鑑賞者と作品が豊かに結びつく展覧会になることを願います。
同時開催
この世界のむこう:パラレル・ワールド#2
私たちが生きるこの世界は唯一の世界でしょうか。
平行世界と訳される「パラレル・ワールド paralel world」は、我々の生きる世界と同一の次元を持ちながら、並行して存在する別の世界を意味します。その世界は、個人的、空想的、科学的に捉えることができるかも知れません。
ベルギー出身のマルチメディア・アーティスト、ガーデナーであるエリン・デ・クラークは今年の夏、小海町に滞在し、20年来の交流を育むアーティストの榎木陽子とのコラボレーションにより、リネンキャンバスに描かれた“地図”という共同作品を制作しました。《Got Lost》(道に迷った)と名付けられた大作は、目的地へと到着しなかった2人の散歩(ボタニカルウォーク)による体験、それは周囲の自然環境や景色を色濃く反映し、観るものを異世界へ迷い込ませるかのような印象を与えます。
本展は、異なる制作環境をパラレル・ワールドと捉え、小海町で今年アーティスト・イン・レジデンスを行った赤羽雄太、エリン・デ・クラーク、榎木陽子、小林冴子、油井祥子の作品を紹介します。
長野県在住作家である赤羽雄太、小林冴子、油井祥子も自宅やアトリエといった普段の制作現場とは異なる場において制作を行いました。その意識、場所性、精神性は通常とはどのように異なり、表現そのものに影響を与えたのでしょうか。それぞれの作家の表現は、この世界のむこう、もうひとつの世界に思いを巡らせ、私たちの世界をあらためて考えるきっかけになることでしょう。
出品作家
赤羽雄太 Yuta Akahane
榎木陽子 Yoko Enoki
エリン・デ・クラーク Eline De Clercq
小林冴子 Saeko Kobayashi
油井祥子 Shoko Yui
Connect through Art -カラハリ砂漠のサン族が描く世界-
What is Kuru Art
Kuru Art(クル・アート)は、ボツワナ南部カラハリ砂漠にある村D’Kar(ディカール)で活動するアートプロジェクトです。
「クル(Kuru)」とはサン族の言葉で「つくる」「創造する」を意味します。
サン族はもともと砂漠で狩猟採集を営む遊牧民で、自然と深く結びついた暮らしの中で独自の文化を育んできました。しかし現代の社会変化により、従来の生活は次第に維持が難しくなっています。文字を持たなかった彼らにとって、アートは世界観や信仰、希望を伝える大切な手段です。
クル・アートの作品には、動植物や祖先から受け継いだ物語、日々の暮らしが鮮やかな色彩と大胆な表現で描かれ、カラハリ砂漠で培われた独自の精神性と創造の喜びが息づいています。こうした作品を通して、サン族の豊かな文化と感性に触れることができます。
Why Holding Kuru Art Exibition?
今回の展示では、アール・ブリュットの観点から「クル・アート」と「ザワメキアート」の共通性に注目しました。
アール・ブリュットとは、正規の美術教育や既存の芸術制度に影響されず、個人の内的衝動や生活経験から自然に生まれる表現を指します。アフリカのサン族による「クル・アート」も、障がいのある方々の「ザワメキアート」も、まさにこの 「生の表現」にあたります。どちらも絵画を学問的に学んだわけではなく、日々の暮らしや自然との関わり、内面の感覚をもとに、装飾や技巧を超えた独自の造形世界を生み出しています。本展示は、「多様性」や「異文化理解」、そして「多文化共生」をテーマとして、来館される方はもちろん、長野県内で暮らすさまざまな方々にも広くその魅力を届けることを目指しています。