そこにあるもの ―モノクロームの魅力―

小海町高原美術館では、「そこにあるもの ―モノクロームの魅力― 」と題し、3名の作家を紹介します。モノクロームとは単一の色彩を意味し、美術では単色画、単彩画をさします。本展では、秋山泉の鉛筆画、小松嘉門の木版画、中村眞美子のドライポイント(先端がとがった針等で版に直接図像を刻み込む版画技法)による主に白と黒のモノクロームの表現を展覧します。
秋山泉は、陶やガラスの器、蝋燭、室内等のモティーフを光のなかで捉え、硬度の違う多くの鉛筆を駆使し、独自の絵画空間をつくり上げています。小松嘉門は、長い時を刻む巨木との対話や、バリ島でのスピリチュアルな体験から、木版にこだわり、大判の木版画で精緻な作品を制作しています。中村眞美子は、枯れゆく草などの植物を、独特のにじみが特徴のドライポイントの線と画面構成で表現し、静かで豊かな風景を見せてくれます。それぞれの作品の光や、空間、時間から浮かび上がる「そこにあるもの」の存在を感じ、技法の異なる驚くべき表現の魅力をお愉しみ下さい。

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