生生流転 In Flux 〜アメリカと日本のアーティストの滞在制作による現代美術展〜

小海町高原美術館では、アメリカのアーティスト5名と日本のアーティスト1名が小海町に滞在し制作を行う展覧会「生生流転 In Flux」を開催します。
各アーティストは異なる方法で、プラスチック廃棄物や産業の副産物、有害鳥獣として駆除された動物など変化しながら循環する非芸術的とも見なされる素材を使用し、社会の様々な問題や個人の歴史を背景に素材を再解釈し、私たちが日常のなかにある美しさやモノの非凡な性質に気づくための空間を作り出します。世の中の全てのものは常に移り変わり、いつまでも変化しつづけ永遠に生きることを意味する「生生流転」(せいせいるてん)は各アーティストに通底する制作態度といえます。作品は記憶や物語を内包し、その基本的な信念や欲求に共感することで私たちは変化しつづける環境やモノとの関係を再考し生きることとは何かを考えるよう促されるでしょう。

7月5日(土)13:30 オープニング・レセプション&アーティスト・トーク

学芸員によるギャラリートーク
7月19日(土)、8月10日(日)、8月27日(水)、9月6日(土)
各回14:00〜
申込不要、入館料のみで参加できます

出展作家

  • リサ・ソロモン Lisa Solomon & クリスティン・バックトン・ティルマン Christine Buckton Tilman

    リサ・ソロモン[カリフォルニア州オークランド]Oakland,CA
    クリスティン・バックトン・ティルマン[メリーランド州ボルチモア]Baltimore,MD

    クリスティンとリサは、2000年代初頭にインターネットでアート作品の画像を共有して知り合いました。2人とも物や収集が好きで、祖母や工芸から創造的なインスピレーションを得て、素材の限界を押し広げる作品を制作
    しています。共同プロジェクトである《CHROMA(クロマ)》では、プラスティックの廃材など、いらなくなったものを収集し、色ごとに並べて大きなインスタレーションアートを
    制作します。それは、私たちがどれだけの「モノ」と関わり、日常生活にどれだけの色彩があるかを示すものでもあります。小海町の滞在制作では、日本文化とつながり、アメリカと日本で収集した「モノ」を組み合わせた展開をみせます。

  • オーロラ・ロブソン Aurora Robson

    オーロラ・ロブソン[ニューヨーク州チェスター] Chester, NY

    オーロラ・ロブソンは、プラスチック廃棄物の流れを遮断する瞑想的な作品で知られるマルチメディアアーティストです。彼女の作品は、子供の頃に繰り返し見た悪夢のイメージでありながら、その造形美にはネガティブさを抑え、文脈を変える力があります。ロブソンは1972年にトロントで生まれ、ハワイで育ちました。彼女は20年以上ニューヨーク市に住み、働いており、その間コロンビア大学で美術史と視覚芸術を学びました。また、プラスチックの破片を革新的な方法で扱うアーティスト、デザイナー、建築家の国際的集団であるProject Vortexの創設アーティストでもあります。

  • ミトラ・ファビアン Mitra Fabian

    ミトラ・ファビアン[カリフォルニア州サンタクルーズ] Santa Cruz, CA

    イラン生まれ、ボストン育ちのミトラは、人間の産業の副産物や残骸を使って作品制作を行う彫刻家であり、インスタレーション作家です。彼女の素材の使い方は、自然と文化を対立させ、有機物と人工物の境界を曖昧にみせてくれます。オハイオ州ガンビアのケニオン大学で美術学士号(副専攻は人類学)を取得。1996 年にロサンゼルスに移り、作品を発表しはじめました。2002 年に復学し、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校で美術学修士号を取得。現在は、ウェストバレーカレッジにて彫刻と陶芸の教授として勤めています。

  • リビー・ブラック Libby Black

    リビー・ブラック[カリフォルニア州バークレー] Berkeley, CA

    リビーは絵画、彫刻、インスタレーションのアーティストです。その彫刻は紙とホットグルーのみで形作られる、実物大に再現された日用品や書籍です。それらの彫刻が空間内に静物画のように配置、展示されることで、現実と創造を融合されたかのようなインスタレーションが行われます。彼女の作品は、個人の歴史とより広い文化的背景を通して、政治、フェミニズム、LGBTQ+ アイデンティティ、消費主義、依存症、価値観、欲望の交差点を探求する道を示しています。1999 年にクリーブランド美術大学で美術学士号、2001 年にカリフォルニア芸術大学で美術学修士号を取得。現在はサンフランシスコ州立大学助教授。

  • ナカイ・レイミー NAKAI Reimy

    ナカイ・レイミー[長野県佐久市] Saku City, Nagano

    「反復」をテーマとし、単純で連続する行為が人にもたらす呪術的な力や、神と人との間にある「見る見られる」の関係を可視化する作品を、主にインスタレーションなどで表現しています。2017年~2018年のポーランド留学を経て、2019年に東京芸術大学大学院 修士課程油画研究分野 卒業。2023年に狩猟免許(わな猟)を取得し、2024年から有害鳥獣駆除に従事しています。近年では自ら仕留めた動物の皮を鞣し、皮や骨を素材として作品に用いる表現を模索し続けておりており、同年冬に小海町高原美術館にて”マテリアルとしての骨への偏愛”を表現する形として、シカの骨を素材に用いた造形作品を発表しました。

展示作品

  • 滞在制作”CHROMA” 

    リサ・ソロモン&クリスティン・バックトン・ティルマン
  • 滞在制作”Gakken”

    オーロラ・ロブソン
  • 滞在制作”Rise and Fall”

    ミトラ・ファビアン
  • 滞在制作”Let it a always be known that I was who I am”

    リビー・ブラック
  • 滞在制作”Liminality”

    ナカイ・レイミー

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