大正ロマン−グラフィックデザイナーの原点 竹久夢二展

竹久夢二(本名:茂二郎)は明治17(1884)年に岡山県に生まれました。本格的に画家を目指しますが、岡田三郎助に独学の道を勧められ、主に挿絵や本の装丁、千代紙等日用品のデザインで知られていきます。明治40(1907)年に結婚した、たまきをモデルに誕生したといわれる、目が大きく夢見るような女性像は「夢二式美人」と呼ばれ、一世を風靡しました。水彩画・版画・油彩画まで多様な技法を手掛けるとともに、さらに幅広く商業美術の分野でも活躍した夢二は、イラストレーター・グラフィックデザイナーの先駆者としても挙げられます。また、「港屋」という夢二の企画・デザインした商品を直販できる店、いわばブランド・ショップをオープンさせたプロデューサーとしての一面も見せています。享楽的な文化の流行、そして関東大震災や第一次世界大戦後の恐慌など混沌とした大正時代に生まれたのが「大正ロマン」であり、大正ロマンを象徴する存在が夢二です。そして、昭和9(1934)年9月、信州の富士見高原療養所において50年の生涯を閉じました。
本展は、グラフィックデザイナーとしての夢二の仕事にスポットをあてるとともに、肉筆画、婦人グラフ表紙、装幀・挿絵、童画、セノオ楽譜、夢二が撮影した写真、関東大震災を取材した画文集など、多角的に夢二芸術に迫ります。

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