小海町高原美術館では、コレクションより「もうひとつの風景」をテーマに写真家の小林紀晴、広川泰士、アニメーション映画監督の新海誠を紹介します。
小林紀晴は、1968年長野県茅野市に生まれ、1988年東京工芸大学短期大学部写真科を卒業、新聞社カメラマンを経て、1991年よりフリーランスとしてアジアを多く旅をし作品を制作、1997年「DAYS ASIA」で日本写真協会新人賞受賞、2000年から2002年までニューヨークに滞在、現在は東京工芸大学教授として後進の指導にも力を注いでいます。本展では、長野県諏訪の御柱祭や沖縄県宮古島の伝統行事など、日本各地に伝わる約30箇所の祭りや神事を撮影した「遠くから来た舟」(2013年第22回林忠彦賞を受賞)、故郷で四季を通じて幾度も登山し撮影した「八ヶ岳」を紹介します。
広川泰士は、1950年神奈川県に生まれ、広告写真、TVコマーシャルなどで活躍する一方、世界各都市での個展、多数の美術展への招待出展、ニューヨークADC賞、日本写真協会賞、A.C.C.ゴールド賞、文部科学大臣賞他多数の賞を受賞、国内外で高い評価を受け、クライアント・ワーク、ライフワークともに精力的に活躍しています。本展では、日本各地に存在する産業活動や政策事業、さらには自然災害がもたらした一つの側面として、「壊しては創る姿」がむき出しになった異形ともいえる風景を、現代日本の「ごく普通の風景」としてとらえた「BABEL」シリーズを紹介します。
新海誠は、1973年長野県小海町に生まれ、中央大学文学部国文学専攻を卒業、2002年、個人で制作した短編作品「ほしのこえ」でデビュー。2016年公開の『君の名は。』は社会現象を呼ぶ大ヒットとなり、国内外で数々の映画賞を受賞しました。2019年公開の最新作『天気の子』は、観客動員数1,000万人を超える大ヒットを記録しています。本展では2004年公開の初の長編映画『雲のむこう、約束の場所』と、小海町が主人公の暮らす町のモチーフになっている2011年公開の『星を追う子ども』を、劇中に登場するキーアイテムの模型と共に紹介します。
本展を通じ、普段接する風景とは違う、もうひとつの風景を感受し、過去から現在、そしてわたし達はこれからどこに向かうのかを考えるきっかけとなれば幸いです。