小海町高原美術館では、開館二五周年記念展覧会の第三弾として、「浮田要三と『きりん』の世界」を開催します。浮田要三(1924~2013)は、1947年、大阪梅田の尾崎書房に就職。井上靖、竹中郁、坂本遼、足立巻一らが起こした児童詩誌『きりん』の編集・発行に盟友星芳郎と共に14年に亘り従事しました。毎月同誌の表紙絵に児童画を選ぶ浮田の眼を吉原治良が認めたことから『具体美術協会』に参加。1962年、『きりん』との関わりを離れ、以後1983年盟友嶋本昭三の招きにより渡欧し制作を再開するまでを市井の袋工場経営者として過ごします。晩年に再燃した制作へのエネルギーは尽きることなく、解き放たれた精神性を湛えた作品を多数遺しました。本展では、浮田がその若き日に情熱を懸けた児童詩誌『きりん』(オリジナル)166点と共に、その画業を展覧します。本展が『子どもと大人が対等な関係で向き合う文化』を再考する機会となることを願います。
企画協力:一般社団法人ぷれジョブ